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【魔王】日本文学奇書に挑戦!【第三十回】

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by Boston Public Library

 

「でたらめでもいいから、自分の考えを信じて、対決していけば、世界は変わる」

まるで今の日本の行く先を暗示しているような、ある兄弟と世界との対決。

伊坂オールスターズ結集の名作!

 

今回紹介するのは、「魔王」(伊坂幸太郎著)です。

m2講談社

 

m3講談社文庫

 

 

○作者について

伊坂幸太郎(1971~)

前回の、【グラスホッパー】日本文学奇書に挑戦【第十五回】の記事をご覧ください

 

 

○作品

2005年、講談社より出版

2008年、講談社文庫より出版

 

中編集

収録作:魔王/呼吸

 

 

○あらすじ

・魔王

両親を亡くし、安藤は弟の潤也と、潤也の彼女の詩織とともに暮らしていた。

ある日、安藤は「自分が念じたことを他人に言わせる」能力が自分にあることに気がつく。

時に、時代は犬養という政治家によって大きく動こうとしていた。

日本がファシズム的な方向に向いているのではないか、と懸念した安藤は、孤独な戦いを決意する。

 

・呼吸

「憲法を改正する」という国民投票が起ころうとしているさなか、潤也と詩織はテレビも新聞もない暮らしを送っていた。

ある日、潤也は「1/10以下の確率の勝負であれば、絶対に勝つ」という能力が自分にあることに気がつく。

「世界をかえるのは金だよ」と兄の友人に教えられた潤也は、ある日……。

 

 

○感想

まさに「伊坂オールスターズ!」と銘打てるような作品だった。

他作品の登場人物、地名、名詞がずらりと並び、伊坂ファンなら踊りださんばかり。

ストーリーはといえば、まさしく今の日本を映し出している鏡であると思う。

憲法改正、自衛隊、9条、などと言った単語が並び、今現在の政府が掲げていることそのまんまをこの本が語ってくれている。

そして、世界を相手に闘わんとする兄弟の姿は、どこか荒唐無稽ではあるが、今の日本に必要な人物である、と思う。

世界の流れをあるがまま受け入れていいのか?

そんな疑問を投げかけている作品だった。

 

伊坂氏の最新作、「死神の浮力」の主人公、死神の千葉君も登場します。

文藝春秋 伊坂幸太郎『死神の浮力』特設サイト

これも読みたいですね……。

 

作成者: 狼蘭

2015/3/4:卒業
小説を書いてる活字中毒な人。
今一番好きな言葉―「皆、思い込みを信じて自分勝手に生きているだけなんです。なら思い直せば別の世界にいける。過去なんてものは、もうないんです。未来が無いのと同じように」(関口巽)
京極夏彦「陰摩羅鬼の瑕」より
余談:アニメ版関口先生が無駄にイケメンで辛い

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