狼蘭です。
と云うわけで、今回のこのシリーズ
前回予告しました「痙攣的-モンド氏の逆説-」(鳥飼否宇著)を紹介しようと思います。
バックナンバーはこちらにどうぞ
○作者について
前回の記事をご参照ください
○作品について
2005年 光文社出版
2007年 光文社文庫出版
「綾鹿市シリーズ」第三作目
雑誌、「ジャーロ」で連載されていた。
○あらすじ
「廃墟と青空」 「闇の舞踏会」 「神の鞭」 「電子美学」 「人間解体」 の5章からなる。
・「廃墟と青空」
伝説といわれる「鉄拳」というバンドにまつわる殺人事件について、ライター「相田彰(あいだあきら)」が本を出したが、
美術評論家の「寒蝉主水(ひぐらしモンド)」が異を唱え、バーで意見を戦わせる。
相田彰の推理はことごとく打ち砕かれ、最後には驚きの結末が!
・「闇の舞踏会」
4人のアーティストが洋館でパフォーマンスのリハーサルを行っていた。
そこに招待されていた「寒蝉主水」と「会田昶(あいだあきら)」。
パフォーマンスを鑑賞し、パーティーをやっている最中に殺人が起きて……。
・「神の鞭」
「栗須賀零流」というパフォーマーがショーをするというので見に来た「寒蝉主水」。
そこにはなぜか気象学者の「英田暁(あいだあきら)」も来ていた。
パフォーマンスを見ている最中に殺人事件と事故に会い、三途の川にたどりついた「寒蝉主水」は……。
・「電子美学」
人間のインターンフェースとしてイカを研究している「綾鹿市イカ研究所」
そこで開発された装置「スクィズ」を体験する所長の「愛田亮(あいだあきら)」と4人の被験者達。
装置の真ん中には、モンゴウイカの「モンド氏」が泳ぎ、そして殺人が……。
・「人間解体」
モンゴウイカの「モンド氏」と、新種の知能を持つイカ「クラウス殿下(学名Aida aquirax)」。
彼らは人間の研究材料にされているが、実はそれを利用し人間の研究をしていた。
研究所内で起こった殺人に乗じて、彼らは人間の「美しい」と云う感覚を体感する。
○感想
前3章は、「寒蝉主水」の体験談かな……と思っていたのだが、
「あいだあきら」という存在がちょっと気になっていた。
しかし、後2章は「いかがなものか」と思うぐらい、いかもののテイスト。
この作品を一言で言うなら、「イカ」しかないような、そんな奇抜なミステリ。
しかし、作品全体を「美」という観念が貫いていて、ロック好きの作者の考えがよくあらわれていると思う。
現実と幻想が絡み合って、どこからが現実が分からないような、
グロテスクで、狂気に満ち溢れているけれど美しい、そんな作品だった。
ちょっと相棒と通じてるところがあるんですよねー。イカがイカしてイカするところとか。
とにかく、もうイカのイメージが強い作品です。
生臭い臭いが漂ってきそうな、そんな作品ですので是非読んでみてください!
参考元:http://honto.jp/ebook/pd_10142828.html
http://www5a.biglobe.ne.jp/~sakatam/book/keirenteki.html(ネタバレ注意)