by David Yu
雨と雲を司る神、『シムチャッカ』 死と嘆きを司る神、『グドミアノ』 沼を司る神、『フィモット』
戦いと守護を司る神、『テレペウト』 音楽を司る神『ラマリリア』、風を司る神、『ピチュ』
そして、神と人間のあいだ―「箜(クウ)」と呼ばれる存在である、『リュイ』・・・・・・。
これは、神々の日常の記録。
今回紹介するのは、「神々の午睡(ひるね」(あさのあつこ著)です。
中心:リュイ 右上:シムチャッカ 右中央:ピチュ 右下:ラマリリア(右) テレペウト(左)
左上:フィモット 左中央:グドミアノ 左下:大神
○作者について
あさのあつこ(1954年~)
1997年、『バッテリー』で「野間児童文学賞」を受賞、その後デビュー。
1999年、『バッテリー2』で「日本児童文学者協会賞」を受賞。
2005年、『バッテリー』全六巻で「小学館児童出版文化賞」を受賞。
人気作品に、『NO.6』 『THE MANZAI』 『一年四組の窓から』 『ミヤマ物語』など。
児童文学だけでなく、『弥勒の月』などの時代小説も出版。
○作品について
2009年、学習研究社より出版。表紙、挿絵は「CLAMP」が描く。
・構成
神々のための序説
リュイとシムチャッカの話
グドミアノと土蛙の話
カスファィニアの笛
盗賊たちの晩餐
テレペウトの剣
終わりと始まり
神のための終章
2013年に、続編『神々と目覚めの物語』が出版されている
○あらすじ
この世界では、「神」、「人間」、そして、神と人間のあいだのそんざい、「箜」が共存している。
「神」は人間に恩恵をもたらし、「人間」は神をあがめ、「箜」は神になろうと努力をする。
そんな、三者三様の生き様の中で、それぞれが苦悩し、幸福を感じ、友情をはぐくみ・・・・・・。
昔々、「神」が人間と共存していた頃の世界のお話。
○感想
児童向けの本なのだけれど、どの年齢層でも楽しめる話であると思う。
神話をモチーフにした話で、どこか空々しい感じはするけれど、その幻想に酔うとまた楽しい。
いつの間にか、意識が太古に向かい、神を目の当たりにしているような恍惚感・・・・・・狂ってない、大丈夫。
神であっても、ドジは踏むし、恋に身を焦がすし、自分を犠牲にしてまで人間を助けるし、やはり人間と同じなのだ。
神という存在を信じていなくても、ファンタジーとして楽しめる、そんな作品だった。
確か小学生の頃、あさのあつこ先生の講演を聴きに行ったとき、新発売としてこの作品が取り上げられていた。
そういう本との出会いは、やはり読むと思い出されるものなのである