「すべてがFになる」
モニターに表示された言葉と、ウェディングドレスの死体の意味とは?
本日紹介するのは、「すべてがFになる」(森博嗣著)です。
○作者について
森博嗣(1957〜)
1996年、『すべてがFになる』で第一回メフィスト賞を受賞。その後デビュー。
作品シリーズに、『S&Mシリーズ』、『Vシリーズ』、『Gシリーズ』などがある。
元名古屋大学助教で、工学博士。
ブログ:森博嗣の浮遊工作室
○作品について
1996年、講談社ノベルスよ出発。
1998年、講談社文庫より出発。
『S&Mシリーズ』の第一作目。
○あらすじ
お嬢様で女子大生の西園寺萌絵と、助教授の犀川。
十四年間人前に姿を見せたことのない天才工学博士、真賀田四季が住んでいる研究所がある島へ、ゼミのキャンプにやってきた。
何とか真賀田博士の顔を見たいと研究所を訪れる二人。
そこは人工知能が全てを管理しているハイテク研究所だった。
真賀田博士の部屋の前で、何とか接見を申し込もうとしているその時、部屋の扉が開き、ウェディングドレスを着た死体が進み出てきた!
パソコンのモニタに表示された「すべてがFになる」の意味とは……?
○感想
死体の登場シーンが他の作品にないほど突飛で、驚愕するほどのものだった。
プログラム用語や専門知識がところどころ出てくるが、理系じゃなくても、ストーリーは楽しめる。
1996年に執筆された話は、まるでこの二十一世紀で起こった事件のようで、コンピュータテクノロジーも、バーチャルリアリティゲームも、今現在開発、運用されているものばかり。
そのバーチャルリアリティゲームの中でなされる謎解きなど、新鮮で驚きだ。
事件の真相もだが、事件の舞台も楽しめる作品である。
コンピュータに頼り切っている今の世界を、どこか批判しているものもあるだろう。
理系の人が読むと、うなずけるだろうし、文系の人が読むと、その作風に驚くだろう。