こんにちは、部長に昇格!矢野ヒカルです。

というわけで、 第三回報道部テーマ小説人気投票優勝者発表〜


今回の参加者は一年生だけといわけで、奏音先生の三連覇は事前から阻止されました。

というわけで、優勝者は闇猫でしたーー



テーマ「雲、本、赤」

 ……ぶわっと吹きつけた風。
 いつもと同じように緑の中に浮かぶテラスで読書にいそしんでいたれいの髪を撫で去る。
 先程までのぽかぽか暖かい時間は、どこへやら。
 ほんのり地上を照らしていた太陽の光が届かなくなり、あたりは一気に暗く、冷えていく。
 れいは本を繰る手を止め、どんより雲のたちこめ始めた空を見上げた。
「これは、降りそうだな」
 読みかけの本にお気に入りの赤い栞をはさもうとさまよいかけた手。
「さっき、飛ばされてったよ」
さえぎる声。
「…れこ、いつのまに?」
本を読むのに夢中で、全然気づかなかった。
そう言うれいに、れこは少し寂しげな顔をする。
「ついさっき、だよ」

ほんとはれいさんが出ていったときからついてきてたんだけどな。
 小さく、聞こえないくらいに呟く。
 僕より読書のほうが好きなんですかって詰め寄りたいのを、押し隠して――

 家の中に入ってすぐ、雨が窓を叩き始めた。
れこは、読書を再開するれいを尻目に、窓を伝い落ちる雫を見つめる。
喋りたくてしかたないけど、なにを話せばいいんだろう。
それに、本の世界に没頭している彼を邪魔するのもためらわれる。
そうしてぐだぐだして終わる、いつもと同じ。
だと思っていた。
「れこ…」
ぱたんと本を閉じ近づいてくるれいに、れこはびくっとする。
「あの、さ…」
いつもの歯切れのいいれいとまるで別物のような彼に、れこは首をかしげる。
「その…ああ、もうっ。察しなさいよれこのばかっ」
「え…?」

ちらりと見えた、れいが読んでいた本。
『大切な人に、想いを伝える』

れこのこと、世界で一番好きだから