1888年ロンドン
切り裂きジャックの連続殺人事件。その事件への警戒で警察は忙しなく動きまわっていた。
何故厳戒態勢で動いているかというと、
曰く、売春婦を狙っていると。
曰く、狙われたものは鋭利な刃物でバラバラにされると。
曰く、臓器を摘出して持ち去ってしまうと。
曰く、公共の場で人目を出し抜いていとも簡単に殺害してしまうと。
曰く、警察に犯行予告の手紙が届いたと。
更に殺害された女性は警戒心を持たずに迎え入れている形跡があるときた。これではシリアルキラーが男であるか、女であるかすら分からない。
残忍で謎に包まれた殺人方法でロンドンどころかイングランド中が震えあがってしまって警察も厳戒態勢を敷かざるを得なくなってしまったというわけだ。
そんな厳戒態勢の中、ロンドンで上流階級達によるダンスパーティが開かれた。何でも毎年の恒例で、なおかつ事件で襲われているのも身分の低い者だから、無理に中止することもないということで、このイングランド中に立ち込めた暗いムードを弾き飛ばそうと言わんばかりに様々なジャンルの音楽と共に人々は踊り狂った。その音楽はロンドン中に響き渡り、ある人はうるさいなぁと眉を顰め、またある人はその音楽に合わせてパートナーと踊りを楽しんだ。
そんな夜の街を一人の男が歩いていた。男の外見は10人いれば10人ともが振り返る様なAPPで言うと18位の見た目をしていた。有り体に言ってしまえばイケメンな男は周りの女性からしょっちゅう声をかけられる。
「一人なの?」
「どこに住んでるの?」
「一緒に踊りましょう?」
しかし、男はそんな声を全て「急いでいるので」とことわり、しかし全く急いでいる風でもない速度で歩いてゆく。
女性たちはそれでも引き下がるまいと男の前に行き、引き留めようとするが、ふと男と目が逢いそして帰ってしまう。
何故なら、男の眼は怪しげで、危険な雰囲気を醸し出していたからだ。これ以上関わってはいけない、そう思わせる何かがあったからだ。
そうして男は歩き続けて、薄暗い通りに着いた。ここまでパーティの音楽は届いているが、住民は外に出てはいない。
ふと、視界に銀色が映った。その方向を見ると、普遍的な布の服にフードつきのローブを羽織った、娘を見つけた。女性というには幼すぎるかもしれない。かといって少女と言うには大人びている。先ほど目に入った銀は髪の色らしい。男は獲物を見つけた、と言わんばかりに娘に近づき、声をかけた。
「ちょっとそこのお嬢サン、愛を語りまセンか?月夜に巡り合ったその縁に。」
少し危険そうな男の怪しげな誘い。それに娘は顔を上げる。まず目に飛び込んできたのは綺麗な蒼い瞳だった。
さらに男は続ける。
「流麗蒼美の瞳、月夜照らす銀の髪。今宵の誰よりも輝いております。」
ほめられて悪い気をしない人間はいない。娘はおそるおそる男に近寄っていく。
そこで男はさらに続ける。
「昨今夜な夜な現る夜霧の幻影の恐怖がもしも貴女を脅かすならば僭越ながら私、愛の語らい序でに貴方の行先へお供致しましょう」
男の紳士的な態度に、娘はこう返した。
「あぁ、嬉しいわ。今宵の私のお相手は貴方?ねえ、過ごしましょう。私と貴方で蠱惑的で幻想的な一夜を。」
そう言うと、娘は男へ手を伸ばす。男は跪き娘の手に軽く口づけをして、そしてそのままその手を取って踊りだした。
娘にもダンスの心得があるらしく、二人は長い間連れ添った美しい夫婦のように息のあった足運びで踊った。
他に誰もいない、薄暗い通りに十六夜の月の光が差し込み、二人をスポットライトのように照らし出す。
男の眼は相変わらず危険な香りを醸し出していたが、それすら一つの要素であるように感じられる。それほどまでに完璧で互いに愛し合っている、そんな雰囲気すら漂っていた。
男は何を考え、この娘と踊るのだろうか?他の娘では駄目だったのだろうか?そんな疑問を置き去りにしたまま、男は少女と踊り続けた。
ふと、男が娘に問いかける。
「草木も眠る夜更けに貴方は外に出歩いていましたが、そもそも何処へお出ででしたか?」
その詮索するような言葉に、娘は少し眉を顰めて答える。
「どうかお気になさらずに。淑女の秘密を暴くのは紳士にあるまじき行いではなくて?」
その少し棘のある言い方に、男は少し慌てた。
「こんな月の綺麗な夜こそ、ここ最近夜な夜な現れるシリアル・キラーに気をつけなければならないさ。」
別に月と殺人鬼に係わりはないがね。そう思いながら娘を心配するように男は語りかける。
すると娘がこうつぶやいた。
「月の照らす静寂に騒ぎ立てる者こそ消えて亡くなればよろしいのではなくて?」
この音楽と騒ぎを起こす殺人鬼両方に吐いたと思われるその言葉に男は反応する。
「嗚呼、イケナイよ。そんな殺人鬼(彼)を悪戯に駆り立てる言葉」
「ねぇ、怯え惑う者にこそ殺人鬼(彼女)は現れるそうよ?」
二の句を継がせず娘はそう言った。その途端、二人から危険な空気がまるでもともとそうだったかのようにあふれ出した。例えるなら空気に触れた途端切れそうな、鋭いナイフのような空気。
しかし、そのような物々しい空気感のまま二人は踊り続ける。まるで狂ったように。
どれほどの時間が経っただろうか。一瞬のようにも永遠のようにも思われたが、そのダンスにも終わりは来る。
時計台の鐘が二度鳴った。その瞬間、二人は弾かれた様に距離を取る。
二人とも何処からともなく大ぶりの銀のナイフを取り出し、再び切迫する。
その動きは完全に同時でなおかつ洗練された動きだった。そして二人の距離が無くなった。
地に伏せていたのは男の方だった。自らの血で赤く染まってゆく視界の中、最後に男が見たのは、月を背にナイフ片手にたたずむ紅い眼の娘と地に落ちた自分のナイフに映る十六夜の月だった。
どうも、masterです。今回は初めての.netでの更新ということで軽めに2000文字くらい書きました。冗談です。これ書くのに3時間ぐらいかかってます。これどうなんだろう、遅いですかね?
まぁそんなことより今回はイメージ元になった曲があるんです。こちらです。
「 凋叶棕 」 ~ 宴 ~より月光照らすはシリアルキラー
イメージというか台詞ほとんど丸パクリ凋叶棕さんはホントにストーリー感あふれる楽曲が多くて、それを元に考えると筆がはかどります。こういう歌詞考えるのってめっちゃ大変そうですよね。
最近GE2のアップデートが来なくてテンションがダダ下がりしてます。サバイバルミッションまだかな~(チラッ
画像元:http://www.toranoana.jp/info/dojin/toho_metal_easy/05.html
