そいえば、大阪府がボーイズラブ、いわゆるBLを規制するとか言い始めたのは今年の4月5日頃の話でした。
痛いニュース(ノ∀`):大阪府、「ボーイズラブ」の規制検討…ネットで話題に
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1450670.html
もろにはっきりと「大阪府青少年健全育成条例」の規制案としてこう書いてるわけだね。
女性向けコミック誌の規制、ボーイズラブの規制検討
そして4月28日にこうなった。
ボーイズラブ雑誌8冊を含む雑誌11冊が正式に「有害図書」として指定される – GIGAZINE
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20100428_osaka_boyslove_magazine/
これに対するまとめで一番よくまとまってるのはこのあたり。
平成22年4月に大阪府でBL雑誌が有害指定された件に関する覚書・解説・考察など – __ScrapBook of Plumber
http://d.hatena.ne.jp/natsu_san/20100428/1272480939
以下の内容が全体の10分の1以上もしくは10ページ以上あったら自動的にNGで、絵も文字もイラストも小説もアウトになる、というわけ。
(1)全裸又は半裸での卑わいな姿態で、次に掲げるもの(陰部又は陰毛を覆い、ぼかし、又は塗りつぶしている場合を含む。)
イ 陰部又は陰毛を露出し、又は強調した姿態
ロ でん部を露出し、又は強調した姿態
ハ 自慰の姿態
ニ 女性の排せつの姿態
ホ 陰部、胸部またはでん部へのせっぷん又はこれらへの愛ぶの姿態
(2)性交又はこれに類する性行為で、次に掲げるもの(陰部又は陰毛を覆い、ぼかし、又は塗りつぶしている場合を含む。)
イ 性交又は性交を明らかに連想させる行為
ロ サディズム又はマゾヒズムによる性行為
ハ ごうかん若しくはごうかんを明らかに連想させる行為又は強制わいせつ行為
うん、こんなのはBLでは当た(略)
それはともかく、今まで好きだったもの、こっそり楽しんでいたものが突如として「不健全」と公に認定されるっていうのはかなりショックが大きいはず。以下のような反応もうなずける。
大阪に住んでいる18歳未満のあなたへ (となりの801ちゃん)
http://indigosong.net/2010/04/post_246.html
割と赤裸々に書いてあるのが好感度高し。
大阪に住んでいる18歳未満のあなたへ。
こんばんは。
普段、801ちゃんと呼ばれている26歳の大人です。
突然ですが、あなたに向けて伝えたい事があって、キーボードをたたいています。
今回は、突然の規制で、とても驚いたと思います。
怖い思いや、悔しい思い、恥ずかしい思いもしたと思います。
ニュースで耳にしたり、書店さんの前を通るたびに、死にそうな気持ちになったかもしれません。
わたしやあなたの趣味は大部分の人には理解されにくいと思います。
気持ち悪がられたり、異常だと言われることもあると思います。
その趣味を恥じ入ったり、自分を卑下してしまう事も多くあると思います。
でも、大丈夫です。あなたが選んで手に取った作品や、趣味は、
必ずあなたの血肉となって、あなたが大人になる手助けをしてくれます。
わたしも、あなたも真っ直ぐには生きれていないかもしれません。
でも、そういう人間にとって支えになるそれらは、簡単に踏みにじられるべきものではありません。
例えそれが、他人から否定されるものであってもです。
ものが、ものだけに、他人に対して引け目を感じる事はあると思います。
でも、あなたは、あなた自身に対して引け目を感じないでください。
自分の好きなものを好きな自分を、自分では否定しないでください。
そして何より、今回の事で傷ついたりしないで下さい。
正直わたしは、大人のくせに、今回の問題について、
どうあるべきなのか、どれが正しいのか分かりません。
もしかしたら、あの頃の自分を含めて、見せるべきではないというのが正しいのかもしれません。
それでも、わたしは、わたしがあなただった頃を思い出します。
思い出して、何も出来ない事が悔しい。
大人として、あの頃の自分のような、あなたに何も出来ない事を情けなく思います。
本当にごめんなさい。
確かに、大人になってしまったわたしから見ると、
今回の規制対象になった中には、刺激が強すぎるかもしれないと思うものも数点あります。
それでも、唐突に奪われるものでは決してありません。
どうしても、大人の立場でそれを決めねばいけない時は、
大人として慎重によく話し合って決めねばならないことだと思います。
でも、今回は本当に唐突に、奪われました。とても許しがたい事だと思っています。
この先、この規制問題がどうなるのかは、分かりません。
わたしが何か出来る事があるのかどうかも、分かりません。
それでも、何かあったとき、必ずあなたを想います。
というか、公式に「不健全」認定するってのがとにかくめちゃくちゃすぎる。これがそのうち「BLだから規制は当たり前」みたいになって、そういうものを好むというだけで犯罪者扱いされ、やがて本当に犯罪として取り締まるために法律が作られるわけだね。法律に従いましょうとか盲目的に考えているだけだとどんどん自分の知らないところで勝手なルールを押しつけられる、それが現実。それが正しいのか間違っているのかをよくよく考えてみるべきってのがまずひとつ。
次、男性向けが規制されてるから女性向けも同じように規制しようっていうのは、自分だけが不当な扱いを受けたからアイツも不当に扱ってくれとわめき散らすのに等しいゲスな行いな訳で。「規制に公平を求める」とこういう訳のわからないことになる。なんでもかんでも「健全」の名の下であれするなこれするなと、当人たちの与り知らないところで勝手に決めるのはもうそろそろやめた方がいいだろう。可能な限り規制はすべきではないし、ケースバイケースで考えるべきであって、十把一絡げに乱暴にくくってひとまとめにして、臭いものに蓋をする、そういうのは前時代的なのでもうやめるべき時に来ている。そもそも誰のための「健全」なわけだ?一体誰にとって都合のいい正義なのだろう?誰がその規制で得をするのか?そのことをいつも考えるべき。何か法律ができる時、そこには何かの思惑が必ずある。自分に都合のいい法律を作るために金で雇った政治屋を議会に向かわせる、それが「政治」というもの。政治ってのは要するに法律を作るってこと。今までは官僚が勝手に作って勝手に運用してきたけど、これからはさらにもっとめちゃくちゃなことになる混乱期に突入する。自分が自分の好きなことを誰にも迷惑かけずにやっていると言っていても、ある日突然規制される可能性がある、これが現実、これからの時代。
昔の時代を紐解くと、「同人」自体がそもそも健全含めてすべて18禁とされて犯罪の原因扱いされていた過去の歴史があって、それらを拡大して今みたいにちょっとは市民権が得られるようになってきたかなと思った矢先にこの扱いな訳。作って育てるのは大変だけど、つぶすのは一瞬。出世するのは大変だけど、足を引っ張るのは簡単。先人が何をやってきて市民権を得たのかを知る必要はないけれども、少なくとも今の自分たちの享受している楽しみが消えないようにするというのは必要最低限の義務であるわけ。やっぱりなんだかんだ言いながらも「これ楽しいよね!面白いよね!」っていうのが、原動力な訳で。そうやっていろいろな人がそれに価値を認めたから今があるわけ。これはありとあらゆるものに言える。過去の歴史をすべて知る必要はないけれども、少なくとも自分の行動や好みがそういった過去の遺産の上に成り立っている以上、その遺産をぶっつぶすことにならないように気をつけ、偏見を正していきつつ広めることも忘れず、といった行動はもはや最低限のマナーとして成立しうると考える。
というか、性を隠蔽することが正義だという考え自体がおかしいし、そもそも国が今保護している歌舞伎や落語ももともとは「サブカルチャー」だったわけ。つーことは、マンガとかアニメとか同人とかBLとかニコニコとかボカロとか東方とかアイマスとかその他もろもろの今の「サブカル」もそのうち絶滅しかかったら保護してくれるわけかね?絶滅寸前のどこかの鳥よろしく、消えかかった時に慌てて保護してももう遅いのだけれども、一体自分たちが何を規制して何を抹殺しようとしているのかがわからないのだろう。
自分たちの感性こそが絶対だと信じて社会正義を振り回す、それでもなお自分たちの趣味嗜好に従わない輩が多ければ今度は「法律」を作って無理矢理従わせる、それが今の世界なわけ。そういうものに対してインターネットがどこまで対抗できるのか?21世紀は旧来の価値観と新しい価値観の壮絶な戦いが続くのだろう、というその予兆を思わせる出来事が今回の一件だと感じる。
INS-MAGAZINEもこれ系については「対岸の火事」ではないわけだけど、こういうことこそ学校で教えるべきだよね!違うのかな?