東大、シュレーディンガー猫状態光パルスの量子テレポーテーションに成功

量子力学は黎明期に、その根幹を揺るがすいくつかのパラドックスが提案された。中でもシュレーディンガーの猫とアインシュタイン・ポドロスキー・ローゼン (EPR)のパラドックスは最も有名である。シュレーディンガーの猫とは、人間が直接見ることのできる巨視的なもの=猫が重ね合わせの状態になるのか、と いうパラドックスであり、EPRのパラドックスとは、量子もつれ状態(注1)にある2つの量子対は、空間的に離れていても片方の測定の影響がもう片方に及 ぶのか、というものである。
これらは20世紀初頭の量子力学黎明期には頭の中で行う思考実験であったが、21世紀のテクノロジーにより、テーブルトップで同時に検証できるようになった。その具体的なかたちが、今回成功したシュレーディンガー猫状態光パルスの量子テレポーテーション(注2)である。
シュレーディンガーの猫とは、生きた猫と死んだ猫の重ね合わせの状態であり、観測すると生きた猫か死んだ猫のどちらかになる。本実験では、これを位相が反 転した光の波動の重ね合わせとして実現した。また、量子テレポーテーションでは、量子もつれ状態にある2つの光ビームを生成し、片方への測定がもう片方へ 及ぶことを用いて、シュレーディンガーの猫状態にある光パルスを伝送した。つまり、重ね合わせの状態を保って伝送に成功した。
ここで重要なこと は、シュレーディンガーの猫状態はそれを直接測定すると生きた猫か死んだ猫になってしまい、重ね合わせの性質が失われてしまうが、量子テレポーテーション では、送信者側の測定が間接測定になるため、重ね合わせの性質を失わずに送ることができる。つまり、量子テレポーテーションは、測定により壊れてしまう重 ね合わせ状態を送れる唯一の方法であり、今回、これを目に見える形で実現に成功したことになる。
この成果は、量子力学基礎の検証という意味ばかりでなく、量子情報通信・量子コンピューター実現に向けた大きな一歩である。特に、超大容量光通信への極めて重要な一歩である。

色々と難しいので自身はないのですが、複雑な量子制御(量子テレポーテーションによって重ね合わせの状態を崩さずに測定)ができるようになったということでしょう。

将来的には情報ハードの性能の向上などが予想できそうです。

 

シュレーディンガーの猫