今、日本の高等学校の教育課程には、「全日制の課程」、「定時制の課程」、「通信制の課程」の三つがあります。
その中で、皆さんあまり知らないであろう「通信制の課程」について、少しお話したいと思います。
「通信制高校」と聞くと、
「月に一回くらいしか学校に行かない」
「きちんとした教育を受けられない」
「学校内で人との交流ができない」
こんなイメージを持つ方が多いんじゃないでしょうか?
私が通う学校の内容ではありますが、イメージしているものと結構違うものなんです。
興味がある方や、通信制を考えている方に参考にしていただければと。
まず「月に一回くらいしか学校に行かない」
これは必ずしもそうではなく、私は現在週三回スクーリングに行っています。
絶対に行かなくてはならないわけではありません。
それぞれの科目に「必要最低スクーリング出席回数」があり、その回数以上行けば原則okです。
もちろん毎回行っても構いませんし、仕事などの都合で必要最低限だけ出席する人もたくさんいます。
また、最近では「毎日学校に行く」通信制高校や、年に数回、合宿のようなものをして出席とするような学校など、さまざまなタイプがあります。
「きちんとした教育を受けられない」
これはそうとも言えますし、そうでないとも言えます。
本人に学ぶ意欲があれば、じゅうぶん勉強できるんじゃないかと私は思います。
少なくとも基礎を学ぶことはできますので、あとは自分の意思次第です。
私の体験では、教科や担当の先生にもよりますが、どの教科もなるべく分かりやすく簡単に教えてくれますので、特に数学は基礎中の基礎を容易に、しっかりと理解することができました。
基礎中の基礎のそこから先は自学自習、になってしまいますが……
うちの学校の場合、単位を修得するには三つ、やらなければいけないことがあります。
まず一番大事なのが、「レポート」の提出。
通信制高校では宿題等がない代わりにレポートを提出しなくてはなりません。
自宅で自力で解くもよし、スクーリングに出て勉強し、ヒントをもらって解くもよし。
提出期限までに、学校に直接来てレポートボックスに入れるか、郵送で送っても構いません。
郵送の場合15円分の切手が必要になります。
次に、上に書いた必要回数以上のスクーリングの出席。
最後に、テストを受けて、合格点以上を取ること。
うちの学校の場合、年三回テストがあり、これも教科によるんですが、基本的に三回を通して合計点が120点以上になればokです。
40点以下の場合再試を受けられる科目もありますが、当然受けられない科目もあります。
年一回しかテストがない科目があったりもしますので、要は一回で40点以上取れ!ってことですね。
そして、テストで合格点以上獲得できなかった場合や、出席回数が足りなかった場合。
これは、レポートさえきちんと提出期限までに全て提出していれば、その科目は「履修」となります。
単位の「修得」とは違い、「履修」の場合は単位認定がされません。
この履修のメリットですが、高校在学中に必ず受講しなければならない「必須科目」があります。これを取らないと卒業できません。
この卒業に必要な「必須科目受講」をクリアするため、「履修」が大いに役立ったりします。
分かりやすい例では、体育ですね。
スクーリングはもちろん実技です。楽しんでやれる程度の内容なんですが。
それでも、運動は嫌い、もしくは訳あって運動ができない、なんて方も当然います。(身体的に通常の体育が難しい場合は養護体育があったりするんですが)
そんな方の強い味方「履修」
体育は必須科目なので必ず受講しなければなりません。しかし運動はしたくない場合、レポートさえ出せば「履修」、つまり「ちゃんと受講しましたよ、習いましたよ」となって翌年度以降体育を取らなくても大丈夫になります。(まあ、体育Ⅰ、体育Ⅱ、体育Ⅲ等と続いていくんですが……)
もちろん単位にはなりませんし、成績も「1」がつくので、できるのならスクーリングもきちんと出席した方が良いに決まってます。
そして、ここで「学校内で人との交流ができない」のではないか、という疑問にもお答えします。
体育に出れば嫌でも他の人と交流します。友人が出来る一番のチャンス科目です。
他人と関わるの嫌だなぁ……って方もいるでしょうが、本気で嫌になるような内容ではない……はず。
しっかり友人を見つけグループを作って、とする人もいますが、大半が誰と組んでもいいやって感じですので、気楽に、気軽に参加できます。
他に交流のチャンスですが、一応クラスがあったりしますので、同じクラスで同じ科目を受けてる人がいたら話しかけに行ったり、文化祭や体育祭、球技大会もあるので、知り合いを作ろうと思えば作れます。
これらの行事はホームルームの出席回数に関わりますので、何度かは必ず出なければなりません。
さて、大体こんな感じでしょうか。
中学校を卒業後、すぐに通信制に入ったなら最低三年間在学、他校から転入、または編入してきた場合、以前の学校で取得している単位や高校在学年数が加算されますので、卒業に必要な年数は個人でまちまちです。
最低限必要なラインは、合計三年間の在籍と、74単位以上の修得。
通信制の良いところに、個人の事情で毎日学校に通えない人にとって都合が良いことだけでなく、必須科目をきちんと取っていれば他は自分の好きな科目を受講できることもあります。
英語以外の外国語を勉強できたり、商業科や工業科の科目を囓ってみたり、芸術科目で結構深いことを学べたり……
意欲があるならば色んなことを、無理なく自分のペースで学ぶことができます。
まぁ、意欲がありすぎて「アレもコレも!」と受講する、ってことができなかったりもするんですが……
(一年間で30単位までしか受講できません。また、科目がブロック分けされていて、テストやスクーリング日程の都合で原則同じブロックから二つ以上科目を取れないんです。)
長々と書きました。
私が通う学校は、こういう風になっております。
あくまで数ある通信制高校の内の一つですから、必ずしも全ての学校がこうであるわけではありません。
やはり、全日制の高校と比べると中身が分かりづらく、不安に思う方も多いと思います。
通信制を選択するのなら、きちんとその学校のパンフレットなり案内書なりを入手する、実際学校に赴いてみる、またこの記事を読むようにネットで情報を探したりして、その学校が自分に合うと納得した上で通うことをおすすめします。
ではでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
ともぞーでした。