2012年5月6日、フランスで大統領選挙があり、そしてギリシャでも総選挙がありました。
フランスの選挙結果は、ご存知でしょうが社会党のフランソワ・オランド前第1書記が現職のサルコジ大統領に勝利しました。
『仏大統領選:社会党オランド氏が勝利、現職サルコジ氏が敗北
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M3MAIM6JIJUR01.html
6日投開票のフランス大統領選挙は、社会党のフランソワ・オランド前第1書記(57)が現職のサルコジ大統領に勝利した。17年ぶりに社会党大統領が誕生する。
世論調査会社4社の推計によると、オランド氏の得票率は約52%、サルコジ氏は約48%。フランスでは5週間後に国民議会(下院)選挙が予定されている。
フランス経済はほとんど成長が見られず、失業保険申請件数は12年ぶりの高水準にある。政府債務の増加でフランスもユーロ圏の金融危機の影響に対して脆弱(ぜいじゃく)な状況にある。ここ2年にわたるユーロ圏の金融危機で政治指導者が交代するのはサルコジ氏で9人目。現職の仏大統領が再選を逃したのは約30年ぶり。 (後略)』
サルコジ大統領は緊縮財政推進派ですが、オランド新大統領は積極財政推進派。今後の独メルケル首相との兼ね合いが注目です。
そしてギリシャでも、野党が躍進、2大与党の新民主主義党(ND)と全ギリシャ社会主義運動(PASOK)が惨敗する結果となりました。
『ギリシャ:NDとPASOKで計149議席、過半数に届かず
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M3N0VL6KLVR501.html
6日投票が行われたギリシャ総選挙では、アテネ時間7日午前10時50分の時点で99.3%余りの開票が終わりわり、新民主主義党(ND)が19%に相当する108議席を獲得した。内務省がウェブサイトに結果を掲載した。第2次救済の獲得でNDと共闘した全ギリシャ社会主義運動(PASOK)は第3党に甘んじ、13%に相当する41議席を獲得。2党の合計議席数は149と、300議席の議会で過半数となる151議席に2議席届かなかった。 』
連立与党の得票率は合計しても30%強程度にとどまり、またギリシャの選挙には第一党に50議席が上乗せされる制度があるのですが、その救済処置を受けても過半数に届かない結果となりました。
まさに、歴史的大敗です。
昨今のギリシャでは、NDとPASOKが入れ替わり政権を担ってきました。が、財政危機が発生し、デフォルト回避のために渋々連立を組んでいた両党ですが、決別に向かう可能性が極めて濃厚です。
NDとPASOKが連立を組んだとしても、残りの野党は全て反・緊縮財政である以上、予算を悉く否決されてしまいます。
そしてそれ以前に、ギリシャの規定では、第1党(今回はND)が3日以内に組閣できなかった場合、第2党である急進左派連合に組閣が命じられることになります。さらに、急進左派連合が3日以内に組閣できなかった場合は、PASOKにお鉢が回ってきます。さらにさらに、PASOKが3日以内に組閣できないと、何と憲法の規定により、ギリシャは再選挙を実施しなければなりません。
「反・緊縮財政」である野党に投じられた票は、全体の7割弱。もう結果は見えたものです。
というわけで、ND、急進左派連合、PASOKの三党が連立政権を発足できず、再選挙になると、2与党はさらなる大惨敗に直面することになると思います。いわゆるバンドワゴン効果(説明:wikipedia)が働き、急進左派連合が第一党になる可能性が濃厚です。
これまさに混迷極まれり。
カオスの迷宮に迷い込んだギリシャですが、今回のギリシャ総選挙の結果、及びフランス大統領選挙の結果は、世界の分岐点になる可能性があります。
ギリシャやフランスの国民は「民主主義に基づいて」、デフレ期の緊縮財政に「否!」の声を叩きつけたわけで、「国民を貧しくさせる政策」に対し、民主主義がそれを否定したことになります。
しかし、フランスやギリシャの国民が「デフレ期の緊縮財政」にNOと言ったとしても、解決策(=経済成長)に向けた道筋は細く、かつ不安定です。理由はもちろん、両国が共通通貨ユーロの加盟国で、独自通貨国には可能な「デフレ対策」を実施することが不可能に近い(オランド氏はチャレンジするようですが)ためになります。
だからこそ、日本国民も「民主主義」に基づき、国民所得の成長を否定する「デフレ期の緊縮財政(増税など)」に「否!」の声を叩きつけ、正しいデフレ対策により世界に先駆けて成長路線に戻る必要があるのです。日本が民主主義に基づき、デフレ期の緊縮財政という愚かなイデオロギーを否定し、正しいデフレ対策で成長を遂げれば、ユーロ諸国も「金融政策の独立がない」問題について考え直します。と言いますか、腹が据わるはずです。
次の総選挙の結果は、世界を変える可能性がある、ということです。
私たちの1票は、世界をも変えるかもしれません。十分熟考して投票しなければなりません。
民主主義の意味とは、こういうことなのではないでしょうか。
以上、ヌンググンでした。