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毎週月曜更新小説  ごてんっ!第四話「情け」

あの~すいません。相談にのってもらってもよろしいでしょうか?

 見知らぬ顔が訪ねてきた。そこで私は一つ言わせていただこう。私たちは便利屋ではないと。

「大切なものをなくしてしまって……一緒に探してくれませんか?」
あの、すいません。聞いてましたか?
「僕たちはそういう活動はしていないのであるが……」
言いにくいことを非情にも言う、知能派気取りの樋上である。
「情けは人のためならず。勿論、見返りを要求しているのではないが、この言葉を堂々として使わせていただこう。探してあげるよ。私の部下が」
言ってる張本人が動かないのは如何に。とお思いの方も多いかもしれない。レイさんは常に本部にかまえ、状況を判断し、下に的確な指示を与えることを部下に指示し、後ろから助言を出す役を買って出たのは私であるが、レイさん本人は本当に必要な時しか動かない。それが彼女である。


 捜索スタート。しかしレイさんは動かない動くのは副部長橋本ヒューマなのは言うまでもない。
「4年1組吉田ユウさん。大切な人に貰った緑色のシャープペンシル1本を合唱ホールから出てきて、教室に戻ってきたらなくなっていた。でよろしいですね」
「あっ。はい」
「で、吉田さんはなんでこの組織のことを知ったのですか?」
「えっと……友達に聞きました」
「そうですか」
恐らく1%以下であろう。この学園で我が部活を知っている人間は。よって、その友達は相当な猛者であることが予想される。もう猛者は勘弁してくれ。相手をするのに疲れる。
「1組でオレらのこと知ってるのはオレとイズミちゃんを除いたらイツキしかいない。この前イツキがシャーペンを持っているのをオレは見た。そのシャーペンは、緑色だった」
「嘘だろ。いっつんはもはや一国を動かせるほどの頑固な鉛筆派。まさか……」
「なあユウちゃん。そのシャーペン。いや、シャープペンシルは月下イツキからもらったものか?」
イズミちゃんと谷川ハルキの馬鹿野郎共の茶番にお付き合いいただきありがとう。
「当たりです。すごいですね!」
逆に言わせていただこう。当たったからなんなんだ。そう思っているとイズミちゃんが、
「新しいの買っちゃえばいいんじゃねーの」
図星である。
「わかってねーな。乙女心を。他の誰でもない、あのイツキがあげたんだぜ。普通の女子ならそれだけでノックアウトだろ。そして、イツキの名を出したとき案の定ユウちゃんの顔は赤くなった。すなわち、ユウちゃんは……」
それ以上言うでない。乙女心を分かってないのは貴様だ。

「ま、それは良いとして探しに行きますか」
そして、捜索が始まった、
そして、捜索が終わった。


「はい。見つけてきたぜ」
「ありがとうございます。橋本さん」
「ヒューマでいいぜ」
「じゃあ、私のことはユウって呼んでくださいね」
「おう!」
「イズミちゃんもありがとうね」
「あい」
「チッ」
「すいませんせめて目を合わしてください吉田さん」
当然の結果だ。恥を知れ谷川ハルキ。私に何の挨拶もないのは気にしない。

「レイさんも、ありがとう」
「どういたしまして」



あとがき
例のごとく捜索途中は割愛させていただきました。戦闘班隊長が頑張っていたのですが、その話はまた今度。

それではまた来週~~

作成者: 矢野ヒカル

45期でした。
卒業しても愛さえあれば報道部にいても大丈夫だよねっ!

2014/3/4:卒業