つい先日、私が体験した話。
夕方、歩道をひとり歩いていると、ある物体が、ふと視界に入った。私は目を大きく見開き、思わず心の中で驚嘆の声を上げた。
これはまさか、ケサランパサラン!?
ケサランパサランとは、綿毛のようなものが丸まり毛玉状になっている謎の生物。日本では、江戸時代から続く、民間伝承となっている。正体は明らかではないが、実物が、姫路市立動物園に展示されているという。若いひとは、あまり知らないかもしれない(いや、私も一応、若いのだが)。ケサパサについては、四十年ほど前に、世間の話題になったらしい。しかし、当時ケサランパサランとされたものは結局、花の冠毛だった、と、ささやかれている。
私は足を止め、考える。
今、まさに私の目の前で空中浮遊している物体こそ、それじゃないか。
気付けば、体が動いていた。他人の目もくれず、私は一目散に、その物体を捕獲しにかかる。それは、思いのほか容易に手に取ることができた。
しかし、私は現実的な思考に陥った。
本物のケサパサは、確か、これよりも、ずっとモジャモジャしているではないか。自宅に持ち帰り、保管したのはよいものの、所詮これは、ケサパサじゃないのでは? というよりも、そもそも、ただの植物の綿毛なのでは?
疑念を抱いたまま、三日ほど過ごした。
そして今日、私は学校図書館で、植物図鑑のページを開いた。しばらくのあいだ、図鑑を閲覧していくと、余計に不可思議に感じてしまう。
該当するものが、数多く存在するのだ。なので、私のつかまえたものの正体は、わからなかった。候補としては、いくつかある。
それらの中でもっとも可能性が高いのは、『ガガイモ』や『アザミ』。
果たして、私の見つけたものは、いったい何なのだろうか。それとも、これらでもない他の植物の綿毛なのか。植物に関して素人の私には、種だけでは、その植物の種類を容易に判別できない。
それでも、これが植物の綿毛ということだけは、明確な事実である。
何せ、さいきん、頻繁に、この物体を目にするのだ。正真正銘本物のケサパサは、そう簡単には姿を現さないだろう。そのうえ、私の発見した物体は、本物の写真と比較すると、特徴がかけ離れているのだ。
ケサランパサランは、やはり存在しないのだろうか。私は、いささか失望感を覚えた。
むろん、こうして日々を過ごしているあいだに、私の背後をケサランパサランが浮遊している可能性はある。
ひょっとすると、あなたの横で、ふわふわと浮かんでいるかもしれない。
参考:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B1%E3%82%B5%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%B5%E3%83%A9%E3%83%B3
http://convenience.typepad.jp/naze/2012/03/%E3%82%B1%E3%82%B5%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%B5%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%81%AE%E6%AD%A3%E4%BD%93%E3%81%A8%E3%81%AF.html
http://lovelygiraffe.seesaa.net/article/132520149.html