狼蘭です。
最近時間がなく、読みたい本も多く……とやってたら時間がなくてのびのびになってしまいました、
「日本文学奇書に挑戦!」
バックナンバーはこちらからどうぞ。
今回、第三回と云うことで、紹介するのは
「占星術殺人事件」(島田荘司著)
○作者、島田荘司について
1948年生まれ。
1981年、江戸川乱歩賞最終候補に残った処女作、「占星術殺人事件」でデビューを飾る
「新本格ミステリ」の流れを作り、「館シリーズ」「Another」で有名な綾辻行人、「密室殺人ゲーム」で有名な歌野晶午などを世に送り出した。
「新本格のゴッドファーザー」「ゴッド・オブ・ミステリ」などの通り名で呼ばれることもある。
○占星術殺人事件について
1981年に発表された作品。
探偵、御手洗潔を生み出した作品であり、「御手洗潔シリーズ」として有名なシリーズの第一作目。
1986年、「東西ミステリベスト100」で21位に輝くほどの人気作品。
○あらすじ
1936年、人気画家が自宅で密室の中殺され、その六人の娘たちが体の一部を切断され、遺棄されたという衝撃の事件が起こる。
それから40年、犯人と動機、密室の手口が分からぬまま時が過ぎ、事件は真相を隠したまま。
そんなとき、ひょんなことから占い師、御手洗潔のもとに事件が舞い込む。
友人石岡とともに事件を追う日々、そしてある日その事件の本質を知る来訪者があらわれた……。
○感想
探偵が実際事件に出会わず、過去の事件、それも密室&屍体切断の謎に挑むというシチュエーションに胸がドキドキした。
また、このミステリは「読者への挑戦状」がある、親切なミステリ。
挑戦状をたたきつけられて、頭をおおいにひねったところ、「このトリックは何処かで見たような……」
と思いページをめくって、なぞ解きを見ればなんと、
「金田一少年の事件簿」でそっくりそのままそのトリックを使われていたではないか!(注1)
ちょっと落胆しながらも、それでもキャラの魅力に引き付けられた面白い作品であった。
(注1)
「金田一少年の事件簿」(さとうふみを著)の中の一作、「異人館村殺人事件」の話。
無断でトリックを拝借していたため、この作品が発表された後、島田荘司から「民事訴訟ものだぞ!」との文書が送られてきたそう。
もし「金田一少年の事件簿」を読んでいるなら、それをわきまえたうえで読むとまた違った場面が見えてくるはず。
知らない人は、先に「占星術」を読むべし!
前回の予告を華麗に無視しましたが、次は「不連続殺人事件」を紹介します。
参考:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%A0%E6%98%9F%E8%A1%93%E6%AE%BA%E4%BA%BA%E4%BA%8B%E4%BB%B6
http://www.bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=1825712