狼蘭です。
このシリーズを始めてから奇書を多く読むようになったのですが、
私が驚いた一番の奇書を紹介していないではないか!
と思い立ち、今回の紹介する本を改めて読んだわけです。
と云うことで、今回は
「爆発的-七つの箱の死-(death in seven boxes)」(鳥飼否宇著)
○作者について
鳥飼否宇(1960年~)
「中空」で第二十一回横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞し、デビュー。
この「中空」に始まる「観察者シリーズ」(現7作)、「○○的」と題するバカミス「綾鹿シリーズ」(現7作)、
「碇卯人」の名でドラマ相棒のノベライズ、及び相棒オリジナルストーリー(現3作)など、多数の作品を手掛けている。
現在は奄美大島に在住。NPO法人奄美野鳥の会の現会長。
○作品について
「綾鹿シリーズ」と称されるシリーズの6作目。
2008年、双葉社より出版
「黒く塗れ!あるいはピクチャーズ・アバウト・ファッキング」
「グレイとピンクの地 もしくはウィッシュ・ウィー・ワー・ヒア」
「青い影、ないしはノーサイド・インサイド」
「白昼夢 さもなくばエレクトリック・ストーム」
「赤い露光 でなければソルジャー・ウォーク」
「紫の煙 またはマシン・ヘッズ」
「紅王の宮殿 またの名をデス・イン・セブン・ボクシーズ」
の七章で成り立っている
○あらすじ
綾鹿市の大物事業家、「日暮百人(ひぐらしもんど)」は引退後、私設美術館を建設。
しかし、その美術館は普通のものとは一風変わっており、6(+1?)人の芸術家がそれぞれアトリエを構え、
美術館の中で作品を制作するのだ。
しかし、その6(+1?)人それぞれが事件に巻き込まれ(というか事件を引き起こし)、
それを美術評論家、樒木侃(しきみぎかん)と、探偵星太郎が警察を交え解決……しようとする。
○感想
1章からして、ぶっ飛んだ場面、犯行、キャラで、推理やロジックどころではないような……。
とあいた口がふさがらない状態がずっと続き、気がつけばずっと口をあけていた、と云うような一作。
芸術家たちが奇想天外な作品を作り上げ、時には命も惜しくない、と云ったような態度を見ると
異様ながらも尊敬に値する。
しかし、一応ミステリの体裁はとっているもののトリック、犯行、ロジックともに「こんなのわかるかよ!」
という代物で、もう「バカミス」と云うのがふさわしい。
けれども、最後の「紅王の宮殿 またの名をデス・イン・セブン・ボクシーズ」では美術館の真意が解き明かされ、
驚嘆し、驚愕する一作である。
グロテスク、吐き気がする、頭がマヒしてしまう、そんな奇妙な一作であった。
もう何が何だか物語に入り込んでいるんだけれどさっぱり……みたいな作品です。
次回は、この前作 (と云ってもあまりつながっていない)「痙攣的」をご紹介します。
参照元:http://old.taipeimonochrome.com/?p=1750
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%B3%A5%E9%A3%BC%E5%90%A6%E5%AE%87