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【ジュリエットの悲鳴】日本文学奇書に挑戦!【第十九回】

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by dustinphillips

 

ミステリ、ホラー、喜劇、悲劇……。

推理小説の名手、有栖川有栖が綴るショートショート、ここに開幕!

 

今回は、「ジュリエットの悲鳴」(有栖川有栖著)を紹介します。

j3実業日本社

 

j2角川文庫

 

○作者について

前回の「赤い月、廃駅の上に」の記事をご覧ください。

 

○作品について

1998年、実業日本社より出版

2000年、実業日本社ジョイ・ノベルスより重版

2001年、角川文庫より出版

 

十二作のショートショート集。

収録作品:落とし穴 / 裏切る眼 / 遠い出張 / 危険な席 / パテオ / 多々良探偵の失策 / 登竜門が多すぎる / 世紀のアリバイ / タイタンの殺人 / 幸運の女神 / 夜汽車は走る / ジュリエットの悲鳴

 

○あらすじ

本格推理、エンタテインメント、ホラー、落語的、悲劇、幻想……などなど。

多種多様なショートショートが、ずらりと並ぶ豪華な一作。

 

○感想

私が一番好きな話が、「登竜門が多すぎる」

推理小説賞の受賞を目指す男のもとに、怪しげなセールスマンがやってくる。

彼は、賞を取りたい推理小説作家を応援するパソコンソフトを販売していると言って、様々なソフトを紹介。

男が使っているワープロソフト、「一太郎」は使いにくい、とセールスマンがとりだした最新のワープロソフトの名前が、日本三大奇書に選ばれた「黒死館殺人事件」の作者であり、推理小説の神とあがめられている方の名前をとって……「虫太郎」(小栗虫太郎)。

思わず「うまい!」と膝を叩いてしまうような、ユーモアあふれた話。

それなのに、オチはシュールで、こんなにも素晴らしい作品が書けるのか、と驚愕した。

表題作の「ジュリエットの悲鳴」は、せつない話。

読んだ後に、思わず泣きたくなるほどの悲劇である。

 

黒死館殺人事件について知りたい方は、「日本三大奇書に挑戦」の記事をご覧ください。

作成者: 狼蘭

2015/3/4:卒業
小説を書いてる活字中毒な人。
今一番好きな言葉―「皆、思い込みを信じて自分勝手に生きているだけなんです。なら思い直せば別の世界にいける。過去なんてものは、もうないんです。未来が無いのと同じように」(関口巽)
京極夏彦「陰摩羅鬼の瑕」より
余談:アニメ版関口先生が無駄にイケメンで辛い