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【暗黒館の殺人】日本文学奇書に挑戦!【第二十六回~館編Ⅰ】

「亡びてしまつたのは、僕の心であったらうか、亡びてしまつたのは、僕の夢であつたらうか…」
「ダリア様の祝福があらんことを…」

今回紹介するのは、「暗黒館の殺人」(綾辻行人著)です。

a1講談社ノベルス

 

a2講談社ノベルス

 

a3講談社文庫

 

○作者について

綾辻行人

前回の「深泥丘奇談」の記事をご覧ください

 

○作品について

2004年、講談社ノベルスより出版

2007年、講談社文庫より出版。

ノベルス版は上/下の二冊。

文庫版は一~四の四冊。

 

講談社book倶楽部特別ページ「暗黒館の殺人

 

この作品は綾辻行人氏著の、「館シリーズ」の七冊目。

館シリーズ:十角館の殺人/水車館の殺人/迷路館の殺人/人形館の殺人/時計館の殺人/黒猫館の殺人/暗黒館の殺人/びっくり館の殺人/奇面館の殺人

館シリーズの詳細はこちらから

 

○あらすじ

「中也」というあだ名の建築科の学生は、ある日「玄児」という友人に誘われて、ある館に出向く。

そこは、「暗黒館」と呼ばれる外装は黒一色、内装も黒と赤で統一され、薄暗い奇妙な館だった。

暗黒館は玄児の実家で、毎年9月24日には「ダリアの祝宴」と呼ばれる儀式が行われるという。

その祝宴に招待された中也だが、なぜか謎の記憶をなくした人物が迷い込んできてしまい……。

祝宴の直前には、殺人事件が起き、館内では異様な空気が漂う中、中也はとうとう……!

 

○感想

とても重厚な作品なので、読むのに一苦労する。

しかし、読み終えたときの達成感は半端ではなく、ほっと溜息をついてしまうぐらいである。

書かれている文の、些細な描写が伏線で後に響いてきたり、犯人像が二転三転したり、謎が謎を呼び起こしたり……。

殺人事件とは関係ないところの謎も、正解が示されると愕然とするほどの奇抜さ。

ラストは衝撃的で、また「館シリーズ」全般につながる重要な証拠も示され、これを読まなければ「館シリーズ」を呼んだとはいえない!と言うほどの重要作。

信じられないことも多く出てきて、読んだ後でも謎が残るが、それを考えるのもまた面白い。

 

 

 

綾辻行人twitter @ayatsujiyukito

作成者: 狼蘭

2015/3/4:卒業
小説を書いてる活字中毒な人。
今一番好きな言葉―「皆、思い込みを信じて自分勝手に生きているだけなんです。なら思い直せば別の世界にいける。過去なんてものは、もうないんです。未来が無いのと同じように」(関口巽)
京極夏彦「陰摩羅鬼の瑕」より
余談:アニメ版関口先生が無駄にイケメンで辛い