「亡びてしまつたのは、僕の心であったらうか、亡びてしまつたのは、僕の夢であつたらうか…」
「ダリア様の祝福があらんことを…」
今回紹介するのは、「暗黒館の殺人」(綾辻行人著)です。
○作者について
綾辻行人
前回の「深泥丘奇談」の記事をご覧ください
○作品について
2004年、講談社ノベルスより出版
2007年、講談社文庫より出版。
ノベルス版は上/下の二冊。
文庫版は一~四の四冊。
講談社book倶楽部特別ページ「暗黒館の殺人」
この作品は綾辻行人氏著の、「館シリーズ」の七冊目。
館シリーズ:十角館の殺人/水車館の殺人/迷路館の殺人/人形館の殺人/時計館の殺人/黒猫館の殺人/暗黒館の殺人/びっくり館の殺人/奇面館の殺人
館シリーズの詳細はこちらから
○あらすじ
「中也」というあだ名の建築科の学生は、ある日「玄児」という友人に誘われて、ある館に出向く。
そこは、「暗黒館」と呼ばれる外装は黒一色、内装も黒と赤で統一され、薄暗い奇妙な館だった。
暗黒館は玄児の実家で、毎年9月24日には「ダリアの祝宴」と呼ばれる儀式が行われるという。
その祝宴に招待された中也だが、なぜか謎の記憶をなくした人物が迷い込んできてしまい……。
祝宴の直前には、殺人事件が起き、館内では異様な空気が漂う中、中也はとうとう……!
○感想
とても重厚な作品なので、読むのに一苦労する。
しかし、読み終えたときの達成感は半端ではなく、ほっと溜息をついてしまうぐらいである。
書かれている文の、些細な描写が伏線で後に響いてきたり、犯人像が二転三転したり、謎が謎を呼び起こしたり……。
殺人事件とは関係ないところの謎も、正解が示されると愕然とするほどの奇抜さ。
ラストは衝撃的で、また「館シリーズ」全般につながる重要な証拠も示され、これを読まなければ「館シリーズ」を呼んだとはいえない!と言うほどの重要作。
信じられないことも多く出てきて、読んだ後でも謎が残るが、それを考えるのもまた面白い。
綾辻行人twitter @ayatsujiyukito