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【歪笑小説】日本文学奇書に挑戦!【第三十二回】

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by Adelle & Justin

 

「だから作家になんてなるもんじゃない!」

東野圭吾、これが裏のライフワーク 出版業界の内幕を暴露する連続ドラマ

 

今回紹介するのは、「歪笑小説」(東野圭吾著)です。

w1集英社文庫

 

 

○作家について

東野圭吾(1958年~)

前回の記事 【名探偵の掟】日本文学奇書に挑戦【第二十回】 をご覧ください

 

 

○作品について

2012年、集英社文庫より出版。

 

短編集。

収録作:伝説の男/夢の映像化/序の口/罪な女/最終候補/小説誌/天敵/文学賞設立/ミステリ特集/引退発表/戦略/職業、小説家

 

 

○あらすじ

「スライディング土下座」を武器に、数々の難攻不落と思われていた作家から原、稿を取る伝説の編集者。

美人編集者に一目ぼれ、振り回されるさえない作家。

新しい文学賞を設立するも、思わぬ事態にあわてふためく編集者。

「結婚を前提に」と娘が連れてきた新人作家に、苦い顔をするサラリーマン……。

出版業界と作家の裏事情、リアリティとブラックジョーク溢れる文壇の苦悩を描いた、12本の短編。

 

 

○感想

パロディ(?)というか、名前のもじりが溢れていて、笑うところは笑えるのだけれど、苦笑い連発の小説だった。

メインに出てくる出版社にしても、「灸英社」とか、「剛談社」とか……。

作家たちの名前も、「玉沢義正」、「糸辻竹人」などなど。

どれも、実際にある出版社、有名な作家の名前のもじりである。分かると、とても嬉しいし、笑える。

しかし、話はどれもシビアであり、読んでるともう苦笑いしか出来ない。

出版社ってこんなことするんだ、作家ってこんなことに頭を悩ませてるんだ、作家と出版社の関係って、こんなんだったんだ……。

そんな驚きの連発で、出版業界がいかに大変かがよくわかる。

小説としても楽しめるが、妙にリアリティがあって、出版業界のことを学ぶのにも役に立つはずだ。

読み終わった後に、きっと多くの人はこう思うだろう。

「やっぱり、作家になんてなるもんじゃない!」と。

 

巻末には、作品ないに登場する本を紹介する広告が書かれている。

東野圭吾氏のジョークが詰まった、偽物の広告なので、騙されないように……(苦笑)

 

作成者: 狼蘭

2015/3/4:卒業
小説を書いてる活字中毒な人。
今一番好きな言葉―「皆、思い込みを信じて自分勝手に生きているだけなんです。なら思い直せば別の世界にいける。過去なんてものは、もうないんです。未来が無いのと同じように」(関口巽)
京極夏彦「陰摩羅鬼の瑕」より
余談:アニメ版関口先生が無駄にイケメンで辛い