by Antti
「これはゲームです。あなたが死ぬか、私が死ぬか」
幽霊、雪、心霊写真、ゲーム……。
火村英生と有栖川有栖のコンビが挑む、四つの謎へようこそ。
今回紹介するのは「長い廊下がある家」(有栖川有栖著)です。
○作者について
有栖川有栖(1959年~)
「【赤い月、廃駅の上に】日本文学奇書に挑戦!【第十一回】」をご覧ください。
○作品について
2012年、光文社カッパ・ノベルスから出版
2013年、光文社文庫より出版。
短編集
収録作品:長い廊下がある家/雪と金婚式/天空の眼/ロジカル・デスゲーム
2013年、ドラマCD化。
○あらすじ
・長い廊下がある家
フィールドワークのために山に分け入った学生は、道に迷った末ある家にたどり着く。
その家の地下には、隣家につながる長い廊下があり、その廊下の真ん中にはかんぬきのかかる扉があるという。
「幽霊が出る」という噂を聞きつけたテレビ局のメンバーと大学生は、酒を飲み、その夜は眠ってしまった。
そして朝起きると、扉の向こうにはプロデューサーの死体が……。
・雪と金婚式
ある老夫婦が、離れにかくまっていた青年が殺された。
その日から、「警察に言わなければならないことがある」と悩んでいた夫。
「今日言う」と決心した日に、階段から転げ落ちて記憶を失ってしまった。
未だに未解決の事件、夫の記憶を引き戻すのは「雪」と「金婚式」……。
・天空の眼
「隣人の教え子が、心霊写真を取ってしまったと困っている」と相談を受けた有栖川有栖。
よく調べてみると、その写真を撮った男が、別荘の屋上から転落してなくなっていた。
心霊写真は、何か関係があるのか……。
火村教授は抜きの、有栖川有栖の推理独壇場!
・ロジカル・デスゲーム
「聴講生だ」と名乗る男から呼び出された、火村英生。
家に向かうと、机の上に三つのカップが並んでいる。
「このうちのどれか一つに、毒が入っている。まず、あなたが一つを選ぶ。そのあとで、僕が毒が入っていない方を飲み干す。そのあと、また選び直すチャンスがある。そして、最終的に、あなたと僕で、一つずつ同時に飲み干す」
「ロジカル・デスゲーム」と銘打たれた危険なゲーム。男と自分を救う方法とは……?
○感想
どの話も、オチを読むまで止められない。
火村教授のクールと熱さ、有栖川有栖の助言とひらめき。
この二人こそが、お似合いのホームズとワトソンだと思う。
私が好きなのは、「ロジカル・デスゲーム」
ゲームの内容は、「モンティ・ホール問題」なのだけれど、ただのゲームではなくて、自分と相手を死から救わないといけないのが難しい。
自分だけが助かるわけにはいかない、自分が死ぬわけにもいかない。
極限の状態での解決策の模索。ドキドキとハラハラが止まらない。
冒頭の文章で、騙される人は少なくないと思う……。
「モンティ・ホール問題」について知りたい方は、こちらをご覧ください。