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【長い廊下がある家】日本文学奇書に挑戦!【第三十四回】

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by Antti

 

「これはゲームです。あなたが死ぬか、私が死ぬか」

幽霊、雪、心霊写真、ゲーム……。

火村英生と有栖川有栖のコンビが挑む、四つの謎へようこそ。

 

今回紹介するのは「長い廊下がある家」(有栖川有栖著)です。

n2カッパ・ノベルス

 

n3光文社文庫

 

 

○作者について

有栖川有栖(1959年~)

【赤い月、廃駅の上に】日本文学奇書に挑戦!【第十一回】」をご覧ください。

 

 

○作品について

2012年、光文社カッパ・ノベルスから出版

2013年、光文社文庫より出版。

 

短編集

収録作品:長い廊下がある家/雪と金婚式/天空の眼/ロジカル・デスゲーム

 

2013年、ドラマCD化。

n4

 

 

○あらすじ

・長い廊下がある家

フィールドワークのために山に分け入った学生は、道に迷った末ある家にたどり着く。

その家の地下には、隣家につながる長い廊下があり、その廊下の真ん中にはかんぬきのかかる扉があるという。

「幽霊が出る」という噂を聞きつけたテレビ局のメンバーと大学生は、酒を飲み、その夜は眠ってしまった。

そして朝起きると、扉の向こうにはプロデューサーの死体が……。

 

・雪と金婚式

ある老夫婦が、離れにかくまっていた青年が殺された。

その日から、「警察に言わなければならないことがある」と悩んでいた夫。

「今日言う」と決心した日に、階段から転げ落ちて記憶を失ってしまった。

未だに未解決の事件、夫の記憶を引き戻すのは「雪」と「金婚式」……。

 

・天空の眼

「隣人の教え子が、心霊写真を取ってしまったと困っている」と相談を受けた有栖川有栖。

よく調べてみると、その写真を撮った男が、別荘の屋上から転落してなくなっていた。

心霊写真は、何か関係があるのか……。

火村教授は抜きの、有栖川有栖の推理独壇場!

 

・ロジカル・デスゲーム

「聴講生だ」と名乗る男から呼び出された、火村英生。

家に向かうと、机の上に三つのカップが並んでいる。

「このうちのどれか一つに、毒が入っている。まず、あなたが一つを選ぶ。そのあとで、僕が毒が入っていない方を飲み干す。そのあと、また選び直すチャンスがある。そして、最終的に、あなたと僕で、一つずつ同時に飲み干す」

「ロジカル・デスゲーム」と銘打たれた危険なゲーム。男と自分を救う方法とは……?

 

○感想

どの話も、オチを読むまで止められない。

火村教授のクールと熱さ、有栖川有栖の助言とひらめき。

この二人こそが、お似合いのホームズとワトソンだと思う。

私が好きなのは、「ロジカル・デスゲーム」

ゲームの内容は、「モンティ・ホール問題」なのだけれど、ただのゲームではなくて、自分と相手を死から救わないといけないのが難しい。

自分だけが助かるわけにはいかない、自分が死ぬわけにもいかない。

極限の状態での解決策の模索。ドキドキとハラハラが止まらない。

冒頭の文章で、騙される人は少なくないと思う……。

 

 

「モンティ・ホール問題」について知りたい方は、こちらをご覧ください。

Wikipedia モンティ・ホール問題

 

 

作成者: 狼蘭

2015/3/4:卒業
小説を書いてる活字中毒な人。
今一番好きな言葉―「皆、思い込みを信じて自分勝手に生きているだけなんです。なら思い直せば別の世界にいける。過去なんてものは、もうないんです。未来が無いのと同じように」(関口巽)
京極夏彦「陰摩羅鬼の瑕」より
余談:アニメ版関口先生が無駄にイケメンで辛い