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【火の粉】日本文学奇書に挑戦!【第三十五回】

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by master.blitzy

 

「火の粉を払うのは、自分ですよ」

元裁判官と元容疑者が隣同士に棲んでいる。

そんな異常な状況で、降りかかる火の粉とは・・・・・・?

 

今回紹介するのは、「火の粉」(雫井脩介著)です。

h2幻冬舎

 

 

h3幻冬舎文庫

 

〇作者について

雫井脩介(1968年~)1999年、「内流 悠人」名義でだした、『栄光一図』で第四回新潮社ミステリー倶楽部賞を受賞。デビュー。

2004年、『犯人に告ぐ』で「週刊文春ミステリーベスト10」で第一位に輝く。

 

〇作品について

2003年、幻冬舎より出版

2004年、幻冬舎文庫より出版

 

2005年、テレビ朝日「土曜ワイド劇場」でドラマ化。

 

 

〇あらすじ

元裁判官の梶間は、現役だったころ、一家惨殺事件で、有力容疑者と思われていた武内を、一転無罪と判決をくだした。

それから時がたち、梶間は裁判官をやめ、祖母、妻、息子、その嫁、そして孫とともに住宅街で静かにくらしている。

すると、なぜか隣に武内が引っ越してくることに。

武内は愛想よくふるまうが、次第に梶間の家族は崩壊し始め・・・・・・・。

あの時下した判決は間違っていたのか? 手に汗握る心理戦の結末とは?

 

 

〇感想

冒頭を読んだ時から、結末はなんとなく予想できる。

「ああいうことになるんだろうな」「あいつが怪しいな」なんて、そんなことを思って読む。

だが、次第に、頭の中をめぐる言葉は変わってくる。

「だめ、それしたらだめ」「まずいまずい」「逆らうなって!」と言ったような、登場人物に対する呼びかけというか、警告というか。

物語がどんどん悪い結末に向かおうとしているのを、黙ってみてられない。

ページをめくる手が止まらなくなってしまう。

自分の予想が正しいのか、それとも驚くほどのどんでん返しがあるのか、それも知りたくなってどんどん読み進める。

もちろん、作者もそんな甘くはない。

驚くほどのどんでん返しが、そして予想もしていなかったハッピー(?)エンドが最後には待っている。

 

こういう系の話って、読むのが止まらなくなるんですよね。

読む時期には注意してください

 

 

 

作成者: 狼蘭

2015/3/4:卒業
小説を書いてる活字中毒な人。
今一番好きな言葉―「皆、思い込みを信じて自分勝手に生きているだけなんです。なら思い直せば別の世界にいける。過去なんてものは、もうないんです。未来が無いのと同じように」(関口巽)
京極夏彦「陰摩羅鬼の瑕」より
余談:アニメ版関口先生が無駄にイケメンで辛い