「火の粉を払うのは、自分ですよ」
元裁判官と元容疑者が隣同士に棲んでいる。
そんな異常な状況で、降りかかる火の粉とは・・・・・・?
今回紹介するのは、「火の粉」(雫井脩介著)です。
〇作者について
雫井脩介(1968年~)1999年、「内流 悠人」名義でだした、『栄光一図』で第四回新潮社ミステリー倶楽部賞を受賞。デビュー。
2004年、『犯人に告ぐ』で「週刊文春ミステリーベスト10」で第一位に輝く。
〇作品について
2003年、幻冬舎より出版
2004年、幻冬舎文庫より出版
2005年、テレビ朝日「土曜ワイド劇場」でドラマ化。
〇あらすじ
元裁判官の梶間は、現役だったころ、一家惨殺事件で、有力容疑者と思われていた武内を、一転無罪と判決をくだした。
それから時がたち、梶間は裁判官をやめ、祖母、妻、息子、その嫁、そして孫とともに住宅街で静かにくらしている。
すると、なぜか隣に武内が引っ越してくることに。
武内は愛想よくふるまうが、次第に梶間の家族は崩壊し始め・・・・・・・。
あの時下した判決は間違っていたのか? 手に汗握る心理戦の結末とは?
〇感想
冒頭を読んだ時から、結末はなんとなく予想できる。
「ああいうことになるんだろうな」「あいつが怪しいな」なんて、そんなことを思って読む。
だが、次第に、頭の中をめぐる言葉は変わってくる。
「だめ、それしたらだめ」「まずいまずい」「逆らうなって!」と言ったような、登場人物に対する呼びかけというか、警告というか。
物語がどんどん悪い結末に向かおうとしているのを、黙ってみてられない。
ページをめくる手が止まらなくなってしまう。
自分の予想が正しいのか、それとも驚くほどのどんでん返しがあるのか、それも知りたくなってどんどん読み進める。
もちろん、作者もそんな甘くはない。
驚くほどのどんでん返しが、そして予想もしていなかったハッピー(?)エンドが最後には待っている。
こういう系の話って、読むのが止まらなくなるんですよね。
読む時期には注意してください