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【イニシエーション・ラブ】日本文学奇書に挑戦!【第四十回】

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by Nattu

 

僕がマユと出会ったのは、代打で出席した合コンの席。そこで僕は、恋に落ちたんだ。

「マユ」と「たっくん」の甘く切ない恋物語は、最後の最後で一変する。

 

今回紹介するのは「イニシエーション・ラブ」(乾くるみ)です。

13原書房

i2文春文庫

 

○作者に付いて

乾くるみ(1963年~)

1998年、『Jの神話』で第4回メフィスト賞を受賞、デビュー。

1998年、『匣の中』は、日本四大奇書とも言われる竹本健治の『匣の中の失楽』のオマージュ。

2005年、『イニシエーション・ラブ』でこのミステリーがすごい!2005に選ばれる

 

シリーズ物に、『タロットシリーズ』(それぞれが独立しているが、全てタロットカードをモチーフにしている)や、

『林四兄弟シリーズ』 『カラット探偵事務所シリーズ』などがある。

 

 

○作品に付いて

2004年、原書房より出版

2005年、文春文庫より出版

 

2005年本格ミステリベスト10で、第六位に入っている。

『タロットシリーズ』の中の一作で、6番「恋人」をモチーフにしている。

sideA、sideBの二編からなっている。

 

○あらすじ

・sideA

合コンの席で出会い、恋に落ちた大学生の「たっくん」と、二十歳の歯科衛生士、「マユ」

二人は海にいったり、それぞれお気に入りの本を交換したりと、順調に愛をはぐくんでいく。

クリスマスは高級レストランで、ディナーをしたいと思っていた時……。

 

・sideB

社会人になった「たっくん」は、「マユ」を大切に思うがあまり受かっていた大企業をけって、静岡の中小企業に就職した。

しかし、そこで幹部候補生となり、東京の本社に行くことになってしまう。

しぶしぶ仕事を取り、しばらくは「マユ」と遠距離恋愛を続けていたものの……。

 

 

○感想

最初の印象は、「ベタなラブストーリー」。

二人の男女が出会って、恋に落ち、デートをし、クリスマスを共に過ごし、といった展開で、面白い、とはいえない。

しかし、sideBに映ると、物語は動く。

遠距離恋愛にありがちな展開になり、どっちかというとミステリーというかラブストーリーかな、と読みながら思っていた。

しかし、最後の二行(絶対先に読んじゃダメ!)を読んだ瞬間、口がふさがらなくなってしまった。

まず意味が理解できなくて、思考が止まった。

封印が融けて、解説を読んでみると、だんだん頭が活性化してくる。

解説に書かれているヒントを頼りに、本をひっくり返してみると、伏線が出るわ出るわの状態で、物語が全く違う様子に変わった。

二回目に本を閉じたときに、思ったこと「騙された、してやられた!」

舞台設定が、1986年ごろだと承知して読むと、もしかしたら気づくかも……?

作成者: 狼蘭

2015/3/4:卒業
小説を書いてる活字中毒な人。
今一番好きな言葉―「皆、思い込みを信じて自分勝手に生きているだけなんです。なら思い直せば別の世界にいける。過去なんてものは、もうないんです。未来が無いのと同じように」(関口巽)
京極夏彦「陰摩羅鬼の瑕」より
余談:アニメ版関口先生が無駄にイケメンで辛い

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