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【黒猫館の殺人】日本文学奇書に挑戦!【第四十一回~館編Ⅱ】

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by Poe aka. Poseidon

 

「私は、鏡の世界の住人なのだ」

鮎田冬馬の手記。そう書かれたノートを持って、出版社を訪ねてきた男。

記憶喪失の彼の過去に起きた、不可解な殺人事件とは?

 

今回紹介するのは、「黒猫館の殺人」(綾辻行人)です。

k2講談社ノベルス

 

k3講談社文庫

 

○作者について

綾辻行人(1960~)

「【深泥丘奇談】日本文学奇書に挑戦!【第十三回】」の記事をご覧ください。

 

 

○作品について

1992年、講談社ノベルスより出版

1996年、講談社文庫より出版

「館シリーズ」第六巻目

 

○あらすじ

作家鹿谷門実と、編集者江南孝明を訪ねてきたのは、記憶喪失の男だった。

彼は、「鮎田冬馬の手記」と書かれたノートを手にし、「自分が何者か、探ってほしい」と二人に依頼。

手記に書かれていたのは、一年前のこと。「黒猫館」という館での、とある殺人事件。

手記を元に鹿谷達は、もともとの館の所有者であった天才学者、天羽達也氏の生涯を追う。

手記が秘める、驚きの真実とは? トリックがトリックでない不思議な館、黒猫館で猫が鳴く……。

 

○感想

本件は、殺人事件の謎を解くものではない。

黒猫館と言うのははたして何なのか、を探る作品である。

この物語の中で、黒猫館とは、緻密な伏線で塗り固められた存在。

「手記」が進むにつれ、だんだんと明らかになっていくその姿は、霧に包まれたようにぼやけている。

前代未聞のトリック。黒猫館に掛けられた魔法(呪いかな?)

その奇妙な館が秘める秘密が明らかにされるとき、皆本当にびっくりするだろう。

殺人事件の方は、やけにあっさりしてるものなので、そんなに腐心しなくて大丈夫。

それよりも、手記を隅から隅まで読むことが、黒猫館への道筋である。

気をつけろ、最大の伏線は、物語の中以外に―。

 

最近、とあることをしたので、この作品を再読。

ヒントはこのサイトの中にも・・・・・・ある?

 

作成者: 狼蘭

2015/3/4:卒業
小説を書いてる活字中毒な人。
今一番好きな言葉―「皆、思い込みを信じて自分勝手に生きているだけなんです。なら思い直せば別の世界にいける。過去なんてものは、もうないんです。未来が無いのと同じように」(関口巽)
京極夏彦「陰摩羅鬼の瑕」より
余談:アニメ版関口先生が無駄にイケメンで辛い