私が子供のころに読んだ絵本で、たいへん奇妙な話ばかりの絵本。
怖かったんですよねえ、これが。
と言うわけで、今回紹介するのは、「いやいやえん」(中川李枝子作、大村百合子絵)です
福音館書店
○作者について
・中川李枝子(1935~)
1962年、「いやいやえん」でサンケイ児童出版文化賞、野間児童文学推奨作品賞を受賞。
山脇百合子(旧姓大村)と組み、「ぐりとぐら」「ももいろのきりん」などを発表。
作詞家としても有名で、「となりのととろ」のオープニングテーマ、「さんぽ」の作詞を手掛ける。
・山脇百合子(1941~)
1967年、「ぐりとぐらのおきゃくさま」で厚生労働大臣賞受賞。
2013年、菊池寛賞受賞。
英文学者でもある。
中川李枝子は実姉。
○作品について
1959年、同人誌「いたどり」にて発表。
1962年、福音館書店より出版。
ちゅーりっぷほいくえんに通う「しげる」を主人公とした 連作短編集
収録作:ちゅーりっぷほいくえん/くじらとり/ちこちゃん/やまのこぐちゃん/おおかみ/やまのぼり/いやいやえん
○あらすじ
・ちゅーりっぷほいくえん
ちゅーりっぷほいくえんには70もの約束がある。
それなのに、しげるは今日も17の約束を破ってしまい―。
・くじらとり
ちゅーりっぷほいくえんのほしぐみさんは、積み木で船を作り、くじらとりにでかけた。
なんとかしてくじらを捕まえたものの、事態は急変―。
・ちこちゃん
机に上って怒られたしげるは、「ちこちゃんもやってたもん」と主張。
すると、なんでもかんでもちこちゃんの真似をしなくてはならなくなって―。
・やまのこぐちゃん
今日からほいくえんにくる、新しい友達、「やまのこぐ」
しかし、こぐちゃんはただのお友達ではなかった。
・おおかみ
原っぱで寝ていたおおかみは、泥だらけのしげるをみて、食べたいと思った。
しかし、泥だらけを食べるのは嫌なので、お湯を沸かしにお家へ帰っている間に―。
・やまのぼり
きょうはほいくえんの皆でやまのぼり。
5つの山があって、一つ目にはリンゴが、二つ目にはばななが、三つ目にはみかんが、五つ目にはももがなっている。
四つ目の山は「くろいやま」で、先生の約束を破ったしげるはそこへ入ってしまい―。
・いやいやえん
何でもかんでも「いやいや」というしげるは、「いやいやえん」へ連れて行かれてしまう。
そこは、嫌なことは何もしなくていいが、乱暴者のMちゃんがいて―。
○感想
子供のころによんで、恐ろしいと思ったことは覚えている。
今本をもう一度読んでみたのだが、やっぱり少し恐ろしさを感じる。
なぜなのか、考えてみたが、どうしてももやもやしてしまう。
物語はどれも、少なくともバッドエンドではないはずなのに、何かが頭に引っかかっている。
きっとその恐ろしさこそが、この物語がつたえたい「教訓」なんだろうな、とうっすらと思った。
本能的に感じる恐怖、それはだから、「やってはいけないこと」なのだ。
物語の突飛な部分も、その教訓を強調するため。
こうやって、子供は教訓を学んでいくんだなあ、と思った絵本でした。
それから、恐ろしさの原因の一つは、たぶん「赤チン」にあったんだと思う。
「赤チン」まみれのしげるの絵が、なんだ得体のしれない者に見えてしまっていたのだろう。
だいたい「赤チン」なんて使わないしね、何か分からないものは恐ろしいですものね。
ちなみに、自分の好きな絵本は「そらまめくん」と「友達屋」です
ぐりとぐらの人たちって姉妹だったのね!!
いやいやえんは、表紙真っ赤っ赤でおそろしくて手出してなかったわ……今度図書館にあったら読もうかなー