それは一つの事故から始まった。
「御社のタイヤは、空を飛ぶのか?」
中小企業が、大手自動車会社を相手取って戦いを始める!
今回紹介するのは「空飛ぶタイヤ」(池井戸潤著)です
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○作者について
池井戸潤(1963~)
「【不祥事】日本文学奇書に挑戦!【第三十七回】」の記事をご覧ください
○作品について
2006年、実業之日本社より出版
2009年、講談社文庫より出版
○あらすじ
「赤松運送」は、ただの中小企業だった。ある事故が起こるまでは。
走行中のトラックから、タイヤが外れ、歩道の親子を直撃。
母親の命を奪ってしまい、警察から捜査が入る。
事故の原因は、「赤松運送の整備不良」
しかし、社長の赤松は、その原因に不満を抱く。
すべては、トラックの製造元、「ホープ自動車」の欠陥だ、そう信じた赤松は、果敢に大企業に立ち向かっていく。
銀行からも冷たい目線を浴びせられながら、徐々に「ホープ自動車」の闇へ迫る!
最後に笑うのは、どっちだ?
○感想
社会はビジネスライクで回っている、そう感じさせられた作品だった。
一度転落したらもう戻れない中小企業の厳しさ、グループ企業の強み。
弱肉強食の世界で、生き残るのは大変である。
池井戸さんの、銀行の描写は真に迫るところがあり、さすがだな、と思わせるほどの手腕。
この社会を斜めにぶった切るような、そんな意志が感じられる。
正しいことが通るとは限らない。闇を抱えていても、大企業は威張る。
また、この小説は、社会派小説でもありながら群像劇でもある。
一つの事故を巡って、中小企業の社長、銀行員、ホープ自動車の係長、週刊誌の記者、などなどがそれぞれ動いている。
その何本もの糸が絡まったりほどけたり、そして最後に一本にまとまる感覚がまたたまらない。
最後まで一気に読みたくなってしまう、そんな作品だった。
「【空飛ぶタイヤ】日本文学奇書に挑戦!【第四十四回】」への2件の返信
半沢直樹の原作の人だ!銀行の描写、細かすぎるぐらいだよね。
半沢の続編見たいな-。本も良いけどね( ´▽`)