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by  Nicholas Noyes

流れる時間には、だれも逆らえない。時間を逆行することは、誰にもできない。
時間を操る鉄道トリック、タブーを破る作品がここにあり。

今回紹介するのは、「マジックミラー」(有栖川有栖著)です。

 

○作者について

「【赤い月、廃駅の上に】日本文学奇書に挑戦!【第十一回】」をご覧ください

 

○作品について

1990年、講談社より出版

1993年、講談社文庫より出版

2008年、講談社文庫より、新装版として出版

 

○あらすじ

滋賀のある山荘で、女性の死体が発見される。

疑われたのは女性の夫、そして彼にそっくりな一卵性双生児の弟。

しかしながら、彼らには出張と言う鉄壁のアリバイがあった。

「一卵性双生児なら入れ替わりも可能」と、事件解決のために駆けまわる被害者の妹、元彼、そして警察。

けれども、証拠がつかめないまま、またしても殺人が起きてしまう。

しかも、その屍体には頭部がない!被害者は、双子のうちの、どっち?

 

 

○感想

  • 双子・一人二役は予め読者に知らされなければならない(ノックスの十戒
  • 自尊心(プライド)のある作家なら、次のような手法は避けるべきである。これらは既に使い古された陳腐なものである⇒双子の替え玉トリック(ヴァン=ダインの二十則) 

 

推理小説の指針とされる「ノックスの十戒」も、「ヴァン=ダインの二十則」でも、双子トリックについての記述がある。

ヴァン=ダインの二十則に至っては、「次のような手法は避けるべき」と厳しい批評だ。

しかしながら、この「マジックミラー」は、タブーとも言われる双子の替え玉トリックをさらりと、何の言及もなく、描いている。

もちろん、読者には公平だ。なんたって、主題は「時刻表トリック」なのだから。

双子の替え玉は、あらかじめ読者に知らされているし、さして問題ではない。

読者は、本文に挿入されている実物の時刻表をちまちまと見比べ、そのアリバイを壊す存在だ。

何ページにもわたって挿入されている時刻表を見るのは、結構目が疲れるし、頭も疲れる。

けれども、パズルのピースが一つ、また一つとはまっていくたびに、感動するし、作者の聡明さに驚く。

そして、最後の最後でのどんでん返しと、壮大なおまけ。

タブーなんてものともしない作品は、どこか清々しさも感じられる。

 

双子トリックを扱った作品は、「十三階段」(髙野和明)、「そして二人だけになった」(森博嗣)など、他にもあります。

タブーに挑戦するって、カッコいいですよね

投稿者: 狼蘭

2015/3/4:卒業 小説を書いてる活字中毒な人。 今一番好きな言葉―「皆、思い込みを信じて自分勝手に生きているだけなんです。なら思い直せば別の世界にいける。過去なんてものは、もうないんです。未来が無いのと同じように」(関口巽) 京極夏彦「陰摩羅鬼の瑕」より 余談:アニメ版関口先生が無駄にイケメンで辛い

「【マジックミラー】日本文学奇書に挑戦!【第四十七回】」への2件の返信

  1. 双子だと思った?残念三つ子ちゃんでした!みたいなトリックはアリなんだろうか……

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