みどり
「今日が何の日か知ってる?」
『みどりの日だろ。それがどうした』
「いや、みどりの日って一体どういう意味があるのかな、と思ってさ。何か知ってる?」
『ああ、知ってるぞ。みどりの日というのは元々4月29日だったんだ』
「4月29日って確か昭和の日じゃなかったっけ?」
『そのとおり。みどりの日は昭和天皇が生物学者で自然を愛したことから出来た祝日だからな』
「たったそれだけの理由で祝日を作れるなんて天皇さんはすごいね」
『確かにな。庶民の俺らには到底無理な話だ』
「うん、そうだね……でもなんで今日に変わったの?」
『それは4月29日が昭和天皇の誕生日で昭和の日になってしまったからだな』
「あー、なるほど……でも、なんで今日?」
『……あみだくじ、かな?』
「あみだくじかぁ。意外と適当なんだね」
『……冗談だぞ』
「…………」
『…………』
「……今日もいい天気だね」
『そうだな』
「…………」
『…………』
こども
『今日はこどもの日だな』
「これまたよく分からない日だね」
『そんなこと言ったら祝日なんて大概分かりにくいものだろ』
「大体、こどもの日って何か目的みたいなのあるの?」
『一応あるぞ。こどもの人格を重んじ、子供の幸福をはかるとともに、母に感謝する……確かこんなかんじだったな』
「……」
『どうした?』
「いや、母に感謝するっていうのは予想外だったから」
『そうか?俺は納得できるけどな』
「約一週間後に母の日なのに?」
『…………』
「しかも感謝の対象が母親だけでちt」
『最後まで言うな。その言葉で誰かが傷つくかもしれないだろ』
「……そっか、そうだね。ごめん」
『分かればいい』
母
「本日は母の日です」
『そうだな』
「たった6日前に感謝したばっかりですが母の日です」
『おい、それは言ってはいけない約束だろ?』
「そんな約束してないよ?」
『そうだったっけ?』
「うん。まぁ、なんにせよ僕たちには関係のない日だね」
『2人とも母親には会えないしな……いやでも今日は感謝する日であって感謝の気持ちを伝える日ではない。ということは心の中でだけでも感謝しとけば良いじゃないか』
「それじゃあ、母さんに何してもらったか覚えてる?」
『……産んでもらった』
「それ以外では?」
『……何も覚えてないな』
「でしょ?せいぜいこの白い部屋に閉じ込められたぐらいだよ」
『…………』
「…………」
『もう、この話は、やめようぜ』
「……そうだね」
五月の嵐
『なあ、今日が何の日か知ってるか?』
「今日は何日だっけ?」
『5月13日、火曜日だ』
「んー?ただの平日じゃないの?」
『平日は平日でもただの平日ではない。その名もメイストームデーだ』
「何それ?」
『今日は我等非リア充達にとって地獄の日バレンタインデーから88日目、八十八夜の別れ霜といってだな、別れ話を切り出すのに最適とされる日なんだ』
「その八十八夜のなんたらって何?」
『ことわざだよ。詳しく知りたければググるといい』
「で、その日が僕達に一体何の関係があるのさ」
『いや、今こうやってしゃべっている間にどっかの誰かさんが破局を迎えているかもって想像するとなんかワクワクするというかスカッとするというかそんな感じがしない?』
「いや、しないから」
『そうか……それは残念だ。君とは分かりあると思っていたんだが』
「分かりあえるあえないは置いといて、メイストームデーは女子と縁がない僕らには関係ないということだね」
『……それ言ってて悲しくない?』
「…………」
『…………』
「前言撤回させてもらうよ。君の言うとおりだ。想像してみたら確かにそんな気持ちになるよ。」
記念日
「今日、5月19日は記念日だよ」
『何のだ?』
「まず、この白い部屋に閉じ込められて九周年だね」
『……もう、そんなに経つのか。早いものだな』
「次に、彼女居ない歴十七周年。ちなみに彼女居ない歴=年齢ね」
『俺はそれを聞いて一体どんな反応をすればいいんだ!?』
「さて、次が最後だよ」
『そして無視かよっ!』
「ねぇ、さっきからちょっとうるさいよ?」
『あっ、ごめん……』
「最後は僕と君が出会って十周年、だよ」
『…………そうか』
「ねぇ、僕を置いてどっかに行かないでね?お願いだよ?」
『心配すんな。お前がもういいって言うまでずっと、どんなときでも俺はお前のそばに居てやる』
「ん、ありがと。これからもよろしくね」
『あぁ、よろしくな』
終
