by Moyan Brenn
目が覚めたら、そこは名も知らぬ草原。
手元には、一つの携帯ゲーム機、そして少しばかりの食料と水。
目的も何も分からないまま、命をかけたサバイバルゲームが開戦する―。
今回紹介するのは、「クリムゾンの迷宮」(貴志祐介著)です。
○作者について
貴志祐介(1959~)
大阪府出身。既婚。
1996年、『ISOLA』で第3回日本ホラー小説大賞長編佳作賞を受賞。デビュー。
1997年、『黒い家』で第四回日本ホラー小説大賞長編大賞を受賞。
2005年、『硝子のハンマー』で第五十八回日本推理小説協会賞を受賞。
2008年、『新世界より』で第二十九回日本SF大賞受賞。
2010年、『悪の経典』で第一回山田風太郎賞受賞。直木賞候補
『黒い家』や、『悪の経典』が映画化された際、自身も出演している。
○作品について
1999年、角川ホラー文庫より出版
2003年、角川書店より出版
○あらすじ
目が覚めたら、そこは見知らぬ草原だった。
しがない中年の藤木は、手もとの携帯ゲーム機にあるメッセージが映し出されていることに気がつく。
「火星の迷宮にようこそ。ゲームは開始された」
深紅の岩が突出する異様な光景の中、携帯ゲーム機のメッセージに従い「第一チェックポイント」なるものにたどり着く。
そこにいたのは、八人の人間。まさしく、彼らはゲームの参加者。
「食料」「サバイバルに必要なモノ」「護身用具」「情報」。四本の分かれ道の先で、得られるものはただ一つだけ。
藤木は、補聴器をつけた藍と名乗る女性とコンビを組み、「情報」を得られる道へと分け入って行った。
そして、ここで運命が分かれる。
前代未聞のサバイバルゲームが開始され、生き残りが一人になるまで、ゲームは続けられる。
「食屍鬼」に捕らえられることなく、藤木は、藍は、無事にこの「火星の迷宮」を抜けられるのか―。
○感想
私は、結構こう言った「サバイバルゲーム」とか「バトルロワイヤル」みたいな小説を好む。
米澤穂信氏の『インシテミル』とか、藤ダリオ氏の『出口なし』など。
この『クリムゾンの迷宮』の迷宮を手に取ったのも、そう言った理由からなのだけれど。
序盤、よくある展開が続き、そんなに恐怖は感じなかった。
しかし、中盤に差し掛かってくると、今まで呼んだ「サバゲー的小説」とは全く違った雰囲気になってくる。
まさに本物の「サバイバル」というか、リアルな描写がまた恐怖をあおる。
そして、ゲームの主催者の鬼畜感がにじみ出ていて、読んでいて頭が熱くなってくるというか。
興奮しすぎて、途中でやめられなくなってしまう。
そして、終盤のいやにあっけない終わり方。
嫌な粘っこい糸が引いている感じと、謎が謎のままで終わる気持ち悪さと、読後感は正直よくはない。
けれども、序盤から中盤、そして終盤にかけての疾走感が、この本に病みつきになる要素なのだろう。


“【クリムゾンの迷宮】日本文学奇書に挑戦!【第四十八回】” への1件のフィードバック
> 『悪の経典』が映画化された際、自身も出演している
まじか!!
作者からして嫌な予感しかしないけど読みたいなあー