by Jason Bache
「狼は絶滅した」
近未来。人はほとんどの時間、家にこもり、モニタと端末を使って他人と会い、他人とかかわる時代。
そんな世界で起きた連続殺人事件は、警察を翻弄し、浸食していく。
狂気に満ちた事件に立ち向かう、四人の少女達の結末とは……?
今回紹介するのは、「ルー=ガルー(副題:忌避すべき狼)」(京極夏彦著)です。
○作者について
京極夏彦(1963~)
「【第一回】日本文学奇書に挑戦!【姑獲鳥の夏】」の記事をご覧ください
○作品について
2001年、徳間書店より出版。
2004年、徳間ノベルスより出版。
2009年、講談社ノベルスより出版。
2011年、講談社文庫より出版。
「月刊COMICリュウ」(徳間書店)上で、樋口彰彦により漫画化された。
2010年、アニメ映画化
2011年、続編「ルー=ガルー2 インクブス×スクブス 相容れぬ悪魔」が講談社ノベルスより出版。
○あらすじ
2030年、「世界」はモニタの中にしかない薄っぺらい時代。
子供たちは、月に一度、「コミュニケーション研修」の時だけしか、生の他人と話をしない。
そんな世界で、少女連続拉致殺人事件が発生。
行方不明になった少女を探すべく、葉月、歩未、美緒、麗猫(レイミャオ)の四人の少女が動き出す。
警察さえも飲み込んだ、恐ろしい事件の背後にある物は……?
○感想
読み終えて、ひとまずため息。単行本で、占めて753ページ。かなりの厚さを、むさぼるように読んだ。
近未来の描写がとてもリアルで、本当にあと五十年もしたらこんな世界になるんでは、と思わせるほど。
そんな近未来に、殺人事件という組み合わせは違和感を覚えるが、これが見事にマッチしていて面白い。
二転三転する展開や、警察内の対立、少女たちの葛藤……などなど、完全に見える世界でも、どこか未熟なところがある。
世界がモニタの中だけにあり、常に監視されている少女たちが、殻を破って敵に立ち向かう様は、感動を覚える。
読み終えた後の壮快感は、何者にも変えられないぐらいの素晴らしさだ。
「ルー=ガルー」とは、フランス語で「狼男」の意味。
「インクブス」 (英語ではインキュバス)とは、「夢魔」の男性版。
「スクブス」(英語ではサッキュバス)とは、「夢魔」の女性版。
続編も読んだら、紹介しようと思います。




